DSCF3616 ランチタイムコンサート vol.279 2012.1.18

厳しい寒さが続く中で、心温まる素敵なランチタイムコンサートを行ってくださいましたのは、上田智子さん(ハープ)と沢野茜さん(フルート)です。

1曲目はメンデルスゾーン(シュトゥックメスト編曲)の『歌の翼によるファンタジー』です。
メンデルスゾーンは裕福なユダヤ人の家に生まれ、38歳という短い生涯の中でたくさんの美しい曲を残しました。『歌の翼に』は、ドイツの有名な詩人、ハイネの詩に曲をつけたもので、「君とともに、幸せな夢をみよう」という意味を持つ幸せいっぱいの歌詞と、流れるような美しく優雅な旋律が人気の歌曲です。この『歌の翼に』をシュテックメストがフルートの為に編曲した『「歌の翼」による幻想曲』はフルート曲としてとても人気が高く、コンサートや発表会などで数多く演奏されています。
爽やかで美しいメロディと優しいハープとフルートの音色が、優しく語りかけてくれているようで、歌詞に歌われている安らぎの世界を表現しているようでした。

2曲目はハープソロで、シンガーソングライターやアレンジャーとして活躍する光田健一さんが、上田智子さんに作曲した『ハープのための幻想的ソナチネ』です。
新曲というには驚くほど優しく幻想的で、印象派を思わせるような色彩感とゆったりとした流れのあるメロディでした。ハープは独特な奏法も多く、主に半音階や移調、そして現代的な和声進行をどうしてもペダルの問題抜きで考える事ができないため、ハープの曲を作曲するというのは難しいと言われているそうですが、この曲は現代的な和声を綺麗に8本の指に合わせているように思いました。細かいオクターヴでの連打の動きを異名同音で取る等、ハープの特徴・ペダルを効果的に使用しており、幻想的な空間を造っておりました。
まるでサロン自体が銀座ではなく別の空間に行ったように感じていました。最後に上田さんがとても良い曲なので、多くのハーピストに演奏していただきたいと仰ってました。

3曲目はフルートとハープによる『アーリーモーニング変奏曲』です。フランス人であるダマーズが、イギリス民謡に着想を得て作曲したこの曲は、民謡ならではの素朴な旋律にフランス音楽の洗練が加味された小品。ハープがすがすがしい朝の訪れを思わせるフレーズを奏でると、これに軽やかなフルートの音色が続きます。2つの音色が複雑に絡み合い、そしてほどけながら表情豊かに展開していく様子は、まるで一篇 の物語を読んでいるかのようでした。
最後に向けて勢い良く盛り上がりを見せながら、楽しくコンサートは幕を閉じました。

演奏

メンデルスゾーン(シュトゥックメスト編曲)/歌の翼によるファンタジー
光田健一/ハープのための幻想的ソナチネ
ダマーズ/アーリーモーニング変奏曲

プロフィール

上田智子さん 〜ハープ〜
6歳よりハープを始める。石川県立金沢辰巳丘高校芸術コース卒業。東京音楽大学器楽科ハープ専攻、同研究科修了。第6回ヨーロッパ音楽コンクールハープ上級部門において審査員全員一致により第1位受賞。パリ・エコール・ノルマル音楽院を首席にて卒業。同音楽院、演奏家資格をプルミエ・プリ(首席)にて取得。あわせて審査員特別賞受賞。故岩城宏之指揮 オーケストラアンサンブル金沢とサントリーホールにて、協奏曲を共演。また、世界最高峰のカルテットベルリンと共演するなど、意欲的に演奏活動を行っている。サウルハープ、アイリッシュハープ、グランドハープの3種類のハープでソロや室内楽、オーケストラ等、演奏活動を行っている。ハープのための作曲、編曲も意欲的にてがける。石川県立金沢辰巳丘高校、鶯谷高校(岐阜)のハープ非常勤講師として、後進の指導にも力をそそいでいる。
石川県ジュニアオーケストラ(ハープ)講師。


沢野茜さん 〜フルート〜
12歳よりFluteを始め、15歳で石川県ユースオーケストラに参加。武蔵野音楽大学音楽学部器楽科フルート専攻卒業。在学中、同大学管弦楽団、ウィンドアンサンブルにおいてピッコロ奏者に抜擢される。東京ミュージック&メディアアーツ尚美ディプロマコース修了。金沢市管打楽器ソロコンテスト大学・一般の部、金賞。2009年フルートコンベンションコンクール、アンサンブル部門2位(銀賞)、ピッコロ部門入選。浜松国際管楽器アカデミー、フィリップ・ピエルロクラス修了。ウィリアム・ベネットのマスタークラス受講。フルートを、村野元孝、高久進、神田寛明、糸井正博に、室内楽を白尾隆、高野成之、神田寛明、中川良平の各氏に師事。現在、フルート演奏研究会Bon Vivant、室内楽アンサンブル「カレイドスコープ」などに参加するなど、東京を拠点に活動。一方でオーケストラアンサンブル金沢賛助メンバーとしてこれまでに多数出演。ラ・フォル・ジュルネ金沢2011、フランス芸術週間、ポールボッツ金沢公演オーケストラメンバーとしての参加など、金沢での演奏依頼も激増。ピアニスト宮谷理香主宰による「こころを耕す」ボランティアコンサート~ふるさと学校訪問の参加では大いなる感銘を受ける。フルート専門誌「The Flute」主催によるフルート講師として活動するなど、後進の指導も活発に行っている。